水盤の都

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 金剛石、天藍石(ラズライト) 瑪瑙 紫水晶、紅玉髄(カーネリアン)……水盤の底には、人間たちが有難げに崇め祀る貴石の数々が、惜し気もなく転がっている。
 水面で咲く、青い睡蓮の他には、水盤で息づく命はない。
 我らが母なるラーナヤーナ川のように、銀の鱗をきらめかせる魚も居なければ、跳ねた尾が飛沫を上げることもない。
 絶えることなく、こぽこぽと吐き出される泡は、全て妾のものだ。
 こんな退屈な場所に、幾千の夜、閉じ込められていたら、全てが色を無くしてしまう。戯れのように、水盤の底に捧げられた貴石は、魚や花の形をしているものもあるが、そんな作り物の花では、心は満たされぬ。
 職人の手により、どれほど精巧に作られて、器は似ていても、魂がなければ、ただの石くれと同じ。
 そもそも、妾はこの水盤に縛り付けられてからというもの、人間というものが大嫌いだ。
 あのハフマーンという憎らしい小僧の手で、この水盤に引きずり込まれてから、数万と幾千の夜が過ぎた。
 それは、人のように精神より先に、肉体が朽ちることはない、我ら精霊(ジン)にとっても、決して短い月日ではない。口を開けば、あの憎い人間の王への恨み言が零れる。永久の繁栄を約束された、そう恥ずかしげもなく胸を張ったあの男ではなく、ちっぽけな水盤に閉じ込められた精霊(ジン)によって、この都は支えられているのだと、誇り高き水盤の都の民は、生涯、認めようとはすまい。
 妾は、母なるラーナヤーナ川の泡から生まれた、水妖だ。
 名は、ない。
 かつてはあったが、この水盤に閉じ込められた際、ハフマーンという輩に奪われてしまった。
 水の精霊に属する我らには、水を思うままに操る力がある。妾たちの加護があれば、その土地は、洪水に襲われることも、干ばつに悩ませることもなく、尽きることのない湧水、清らかな水の恩恵に預かることが出来る。
 それに目をつけた、かつての水盤の都の主(ハフマーン)によって、妾は無理やりに真名を奪われた挙句、精霊の力を削がれて、此処に閉じ込められている。
 水盤の底には、我らの嫌う鉄の板が置かれており、此処から一歩でも出ることは、叶わない。幾千、幾万の夜を越え、朝を迎えても、ずっとだ。
 妾は、虚しさと共に、金剛石の華を、あわく瞬く光の映りこむ、水面に向かって放り投げた。ひかりがゆらぐ。睡蓮の葉だけが、目に優しい。このように苛立つのも、一万と四千八十……何回目だったろうか。水盤に閉じ込められて、はや数百年、もし、妾が唯人であれば、とうの昔に発狂していることだろう。いっそ、その方が楽かもしれないのに、精霊(ジン)の誇りが、それを許さぬ。
 我らにとっては、憎々しいことこの上ないが、あのハフマーンという輩は死してなお、この水盤の都を作り上げた英雄として、また王国の始祖として、崇められているようだ。
 永久の隆盛を約束された――水盤の都。
 妾、水妖を閉じ込めた水盤を、奥庭の中心に据えて、彼の王は翡翠宮殿(エスディアル)を建て、その栄光を自らの血を分けた血族、子、孫の世代へと引き継がせた。
 あの男が死んでから、幾度も幾度も朝日が昇ったというのに、今もなお、水盤に閉じ込められているのは、実には腹立たしい。
 憎いハフマーン王の血族は、今や、水盤の妖のことなど忘れ果てて、のうのうと平和に暮らしていることだろう。
 何時の日か、必ず報復してやるのだと、妾は心に決めていた。
 しかし、水妖たる妾の存在を恐れてか、ハフマーン王の一族は水盤に近寄ろうとはしなかった。――臆病者め、と謗らずにはいられぬ。
 白い月が巡り、青い月が昇るうち、いつしか、永遠に来ぬかもしれぬと、諦めかけていた機会は、意外にも、あっけなく訪れた。
 水面に差し込むあわいひかり、睡蓮の葉がゆらぐ辺りまで、浮き上がった妾は、水盤のすぐそばまで寄ってくる、小さな影に気がついた。
 忌々しい鉄のせいで、水盤から抜け出すことは叶わぬが、外の様子を伺うことは出来る。
 水と同化した腕を動かし、おっかなびっくり、水盤に咲く、青い睡蓮を覗き込む、小さな体を掴まえた。
「わ……わあっ!」
 高い悲鳴が上がる。
 幼く、あどけないそれは、人間の童子の声だった。
 せいぜい五つかそこらであろう、男だ。掴まえた腕を離さぬまま、妾は、その子供をしげしげと値踏みする。
 白い上等な衣に身を包んでいる、黒い髪は金糸を織り込んだ紐と翠玉で飾られており、富貴の生まれであると知れた。胸元の鳥の護符も、きちんと力の籠ったものだ。豊かなだけでなく、身分ある家の子供であろう。
 いきなり、透明な腕によって、水盤に引きずりこまれそうになった幼い少年は、怯えた目で、水妖を仰ぎ見る。
 その子供の目を見て、妾は密かに、ほう、と感嘆した。
 青に金を散らしたような、なんとも稀な色をしている。水面に咲く、青い睡蓮(ブルーロータス)よりも深い、喩え得るなら、瑠璃(ラピスラズリ)の色だ。
 幼い子供は、不安そうに瑠璃の瞳を揺らしながら、それでも、生来、気が強い性分なのか、妾を懸命に睨んでくる。面白い。
 この水盤に閉じこめられて以来、幾百年、人間と名のつくものは、老若男女、分け隔てなく嫌いになった妾であるが、それでも、その瞳は美しい、と素直にそう感じた。
 精霊(ジン)たる妾が認めるのだから、本物だ。
 しかし、それはそれ、これはこれである。水盤に封じられていることも気にくわぬが、平穏を乱されることも、妾は好まぬ。
 ばたばたと陸地に打ち上げられたばかりの魚のように、手や足を振り回し、無駄な足掻きをする子供に、水妖は尋ねた。
「お前は、誰だ?人間の子供」
 問いかけられた、幼い少年はむすりと頬を膨らませ、逆に「お前は、水妖か?」と尋ね返した。
 水盤に引きずり込まれそうになりながら、ひとならざるものに偉そうな口を利ける度胸は、賞賛に値するか、あるいは唯、愚かなのかもしれぬ。
 瑠璃の目を持つ子供の問いかけに、妾は親切にも頷いてやると、「いかにも」と応えた。
「水の精霊(ジン)たる妾のことを、そう呼ぶ者が多いのは、承知している。それで、お主は何者だ?人間の子よ」
 こちらの話を聞いていないように、瑠璃の目を持つ少年は、ぱあ、と嬉しそうに満面の笑みをみせた。
「やっぱり……!ご先祖様の話は、嘘じゃなかったんだ。ヤーディナル師の教えてくれた通りだ」
「ご先祖様……お主の言うそれは、ハフマーンとかいう輩か?今のをもう一度、言ってみるがいい。人間の子供」
 腹違いの兄弟ともども、老いた師から聞かされていた、水妖と出会えたことに気を良くし、五歳になろうかという子供は、えっへんと誇らしげに胸を張った。
「水盤の都の守護者、マハタート王の三番目の子、ルイスワーンだ」
「ほお……つまりは、あのハフマーンの子孫ということか?」
 ――ルイスワーン。
 人間達の古き言語で、白い月を意味する。
 何と、王族自ら此処に飛び込んでくるとは、年端もいかぬ童とはいえ、命知らずなことだ。
 お主のご先祖様が、妾をどんな目に合せてくれたのか、父王や生母から聞かされてはおらぬのか。
 少年――ルイスワーンが頷くよりも先に、妾は、その小さな掌を引っ張ると、水中に引きずり込んだ。無理やりのそれに、子供の身体が強張る、恐怖におののいた表情で、必死に水面の光に向かって、手を伸ばし、死への恐怖に足掻いた。睡蓮の葉が、あんなにも遠い。
 ごぼごぼと沸き立つ泡に、歪んだ快楽を覚えかけた妾だが、子供(ルイスワーン)が死にかける寸前に、水盤から弾きだしてやった。
 憎くて、憎くて、たまらぬ男の末裔ではあっても、この子供自身、わずらわしいが罪はない。殺めようとは思わなかった。
「げぼげぼ、げほげほげほ……っ!」
 草の上に放り出されたルイスワーンは、水を吐いて、盛大に咽返り、己に仇を成した水妖を睨んだ。
 白い服はぐっしょり、と水を含んで酷い有様になり、綺麗に結っていた黒髪は、ほどけてしまっている。
 瑠璃(ラピスラズリ)のそれだけが、先と変わらず、鮮やかだった。
 何をするんだ、と問いかけ、問うても無駄だと悟ったのだろう。その代わり、妾をきつくきつく睨むと、ルイスワーンは叫んだ。
「お前なんて、お前なんて、大嫌いだ。せっかく、せっかく会いに来たのに……!」
 ずぶ濡れの身体を引きずって、幼い王子は奥庭から走り去り、妾は水盤の中からその背姿を見送った。
「嫌いで大いに結構、妾も人間の子供なんぞ、大嫌いだ。二度と来るんじゃない」
 言わずとも、あんな悲惨な目にあったのだ。――もう近寄るまいよ、と思いながら、妾は静寂と退屈の最中、水盤に身を沈める。
 風で沙羅双樹の枝がそよぎ、あまい花の香りがくゆる。
 水面に、小さな波紋が広がった。


しかし、人間の子というのは、妾が思う以上に愚かだったらしい。否、それとも、このルイスワーンが頭が足りないだけかもしれぬ。
 いずれにせよ、救い難い愚か者ということに、異論はあるまい。
 一昨日、水盤に引きずり込まれ、溺れかけたというのに、性懲りもなく、水盤に近づいてくる辺り、愚か、という言だけでは、表現しえぬ。
 青蓮の間から、瑠璃の瞳がむすーっと、此方を見ているのを、不幸にも目に留めてしまい、妾は己の迂闊さに、心底、これ以上なく、うんざりとした。
 こ奴の先祖、ハフマーンは傲慢だったが、為政者としては有能だった。が、それは子孫には受け継がれなかったようだ。
 しばらく、息をひそめて、水盤の底に沈んでいたが、ルイスワーンは沙羅双樹の根本に腰をおろし、帰る気配を見せない。
 どれほどの時間が経っただろうか。
 根負けした妾は、渋々、水盤を浮かび上がり、人間の少女の姿を取ってやった。
 水で出来た身体が透けているほかは、人間と変わらぬはずだ。
 そうしても、精霊(ジン)を見る目を持たぬ者には、無意味であるが、こ奴はそうではないらしい。精霊を見、神の領域に立ち入る者。思えば、妾をここに閉じ込めた、あの男もそうだった。
 母なるラーナヤーナ川の女神のような広い心で、妾が姿を現してやったというのに、ルイスワーンは不機嫌そうに、「遅い」と吐き捨てた。
 むすくれ、まぁるい頬を膨らませた子供は、実に生意気だった。
「五月蠅い。おぬしは、馬鹿だろう?何故、あんな目にあったのに、また、此処にやってきた?もしかしなくても、相当、頭が悪いな。王子とやら」
「黙れ。王子じゃなくて、私にはルイスワーンという名前が、あるんだ。せっかく訪ねてきてやったのに、そっちこそ無視するな」
「わかった。よく来たな、じゃあ、直様、帰れ。ルイスワーンとやら」
「……帰らない。なんで、王子である私が、奥庭を出なきゃいけないんだ。水妖」
「帰れ」
「帰らない」
「帰れ」
「帰らない」
 しばらくの間、無駄ともいえる押し問答を続けたあと、妾は口を噤んだ。埒があかない。
 同じく、むすりと黙り込んだルイスワーンに、仕方なく理由を聞いてやる。
「それで、何故、また此処に来たのだ?ルイスワーンとやら。水盤に閉じ込められた、憐れな精霊(ジン)を嘲笑いに来たのか?」
 皮肉まじりの妾の言い様に、幼い王子は唇を結んで、違う、と頭を振った。
「ナーラーイ兄上が教えてくれた。水妖は、何百年もの間、たった独りで、水盤に閉じ込められているんだって、違うか」
「あぁ、おぬしのご先祖様のせいでな。妾は此処から、一歩も動けぬ。忌々しいことだ」
「……さびしくないのか?ずっと、ずっと、独りぼっちで」
 予期せぬルイスワーンの問いかけに、妾は刹那、目を見開き、ついで、苛立ちがこみ上げてくるのを感じた。
 水妖たる妾に睨まれても、人間の王子は怯むどころか、透徹とした目で、此方を見つめ返してくる。凪いだ水面のようなそれが、酷く気に食わぬ。
「妾は、人とは違う、水の精霊(ジン)ぞ。孤独など、どうとも思わぬ」
「話し相手も、友がいなくても、苦しくないの?」
「そのように同情するな。十年も生きていない、人間の子供に同情されるなんぞ、不愉快きわまりない」
 もう二度と来るな、と水盤の水を波立たせ、背を向けようとした妾の耳に、信じられぬ声が届いた。
「嫌だ。お前の言うことなんぞ、聞かないぞ、水妖。毎日でも通うから、ちゃんと水盤から出てくるんだ。約束したぞ!」
 一方的ともいえる約束の取り付け方に、言うだけいって、水盤の前から走り去ろうとする小さな背中に、妾は唖然とした。
 恐ろしい言葉を、聞いた気がする。
 毎日でも通う。水盤から出てこい。あの子供は、何を考えているのやら……さっぱり、理解できぬ。
 次の日、水盤の底に沈んだままだったが、ルイスワーンはやってきたらしい。
 こちらが納得していない約束を守る義理もないので、放っておいたら、どぼん、と熟れた果実が投げ込まれた。
 うっとうしいが、それは美味しそうだったので、仕方ないので、仕方ないので、齧ってやった。果実に罪はない。
 翌々日、やはり、水盤から出なかったら、いきなり、笛の演奏を始めた。
 仮にも、王族だというのに、聞くに堪えない、余りにひどい演奏だったので、ばしゃばしゃ、と軽く水面を波立たせたら、ルイスワーンはとぼとぼと打ち沈んだ様子で、去って行った。
 少し、気の毒だったかもしれぬ。
 またその翌々日、五つかそこらの子にしては、難しい書物を抱えて、青い睡蓮の前で、朗読を試みていた。
 ところどころ、読めない文字で止まるので、年齢の割には努力しているが、聞き辛い。ばしゃばしゃばしゃ、と苦情をこめて、激しく水面を揺らすと、がっくりと項垂れて、チャンルー兄上に教わってくると、拳を握っていた。いい加減、諦めないだろうか。
 かくして、七夜の月が巡ろうとする頃、根負けしたのは、妾の方だった。
 不服ながら、人間の娘の姿でルイスワーンの前に立ってやると、今までの事をすっかり忘れ果てたように、にっこりと笑って、「私の勝ちだな」と、胸を逸らした。
 いつ、おぬしと賭けをしたというのだ?
 やはり、あの王の末裔に、ろくな人間はない。
 その思いを深くしたものの、とてとてとおぼつかない足取りで、歩み寄ってきた幼子は、水盤の淵から、身を乗り出し、妾と目を合わせると、
「私は、白い月(ルイスワーン)だ。水妖、お前の名は?」
と、尋ねた。
 瑠璃の瞳が、月の光を浴びて、きらきらと目映い光を放つ。
 無垢で、曇りない眼差しは、応えられぬことなどないと、心の底から信じているようだった。
 妾は。
「真の名はない。水盤に囚われた時に、お前の祖父の又、祖父に奪われたからな。ルイスワーン。そもそも、水の精霊(ジン)の名を、人間風情が口に出来るものか」
「自分の名を、忘れてしまったのか……?可哀想だ」
「お前は、いつも妾の話を聞かないな。子孫がこれでは、ハフマーンの奴も、嘆くだろう……良い気味だ」
 意地悪く、唇を歪めた水妖のそれに気にも留めず、ルイスワーンは腕組みをし、うーんと唸った。
 しばらくして、ぱっと顔を上げたそ奴に、嫌に、うきうきと浮足立った様子に、妾は嫌な予感しかしなかった。
「名前が、ないと不自由だろう。水妖、私が、お前に新しい良い名をつけてやる」
「いらん。余計な世話だ」
「何が良いかな。そうだ、花(シェンカ)とか睡蓮(ニルフェ)とか、気に入らないか?」
「だーかーら、妾は名なぞいらん!勝手に、お前の意志で、珍妙な名をつけようとするな!」
「水妖こそ、不満ばっかり言うな。チャンルー、ナーラーイ、兄上達の名前だから、嫌なんて言わせない」
 妾に拒否されたことで依怙地になってか、しまいには兄王子たち、男名まで口にし出したルイスワーンに、妾は最早、あきれ果てて、水盤に沈もうとする。
 ここ百年程、水盤から出れぬことに、深く絶望しながらも、太陽と月の満ち欠けだけを頼りに、平穏な日々を数えていたというのに、この瑠璃の瞳の王子が現れてからというもの、五月蠅くてかなわぬ。
 また睡蓮の葉を透けた朝陽が、ゆらめく光が、水底の貴石を煌めかせる時刻まで、眠りにつくこととしよう。
「――リルファ」
 水盤に身を躍らせる寸前、ルイスワーンの声が聞こえて、妾は振り返る。
 瑠璃の瞳は、いつになく真剣さをたたえていた。
 奇妙に大人びた口調で、幼い王子は言葉を重ねてくる。
「川の女神様の御名だから、気に入らないなんて事はないだろう。美しくて、睡蓮の花が好きで、この国で一番、優しかった女の名前だって、父上がおっしゃっていた」
 リルファ。
 この世で最も、大切な名を紡ぐように。
「私を産んで、すぐ亡くなってしまったから、記憶はないけど。川の女神様みたいに、綺麗で優しい人だったんだって、父上が何度も話してくれた……」
 ――母なる、ラーナヤーナ川の女神(リルファ)。
「それでいい」
 名付けの許しを与えて、妾が水盤に沈もうとすると、小さな掌が、水と溶けあう水妖の指先をつまんだ。
 触れない。
 水で形づくられた精霊(ジン)には、人と同じ意味では、触れれない。
 けども。
 ルイスワーンは、ほんとうに嬉しそうに、しあわせそうに微笑った。
「ありがとう。リルファ」
 水盤が、かすかに波打った。
 天空に煌々と輝くは、白い月。
 星のまたたく、静かな夜、名を失った水妖は、新しい名(リルファ)を得た。
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